TREATMENT

疾患ごとの
診断と治療
疾患ごとの<br>診断と治療

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末梢動脈疾患

病因と症状

末梢動脈疾患は、下肢などの動脈が徐々に狭くなったり完全に閉塞したりすることで発症します。歩行時に、疼痛や冷感、しびれなどの症状が表れます。放置しておくと、下肢の壊死・切断に至ることもあり、早期の発見・治療が重要です。足に潰瘍・壊疽が認められた場合の5年生存可能性は50%程度とされ、早期の胃がんより悪いとの報告もあります。

末梢動脈疾患には、下肢の動脈硬化により血流障害が現れる「閉塞性動脈硬化症」、それが重症化した「重症下肢虚血(下肢動脈の狭窄・閉塞)」「腎動脈狭窄症」「鎖骨下動脈狭窄症」などがあります。

診断と検査
左:CT画像、中:MRI画像、右:カテーテル検査
末梢動脈疾患の検査の多くは身体への負担がほとんどかからないもので、外来で行うことができます。5分程度で施行可能な「ABI検査」は、両腕・両足の血圧を測定するだけで、簡単に末梢動脈疾患があるかどうかを判断することができます。 末梢動脈疾患が疑われた患者さまは診断を確定するため、造影剤を用いた「CT血管造影検査」や、造影剤を使用しない「MRI検査」などを行います。CTやMRIでは頭から足先まで、全身の血管の狭窄や閉塞を評価することができます。

最終的に末梢動脈疾患があると診断された患者さまは、治療目的で「カテーテル検査」を行います。末梢動脈疾患の患者さまは、心臓の冠動脈疾患(約50%)や脳血管疾患(約20%)を合併する頻度も高いため、カテーテル検査の際は同時に冠動脈造影などを行い、心疾患と脳血管疾患の合併の有無も評価します。

治療

治療方法としては、血液をサラサラにして症状を改善する「薬物治療」、「運動療法」、狭窄・閉塞している血管を風船やステントで広げる「カテーテル治療」、人工血管や患者さまの静脈を使用する「バイパス手術(外科手術)」などがあります。どの治療法にするのかは、患者さまの症状の程度、病変の部位とその程度、治療に伴う危険性などを考慮して決定します。「運動療法」について、自宅で行うのが難しい患者さまは当院外来リハビリに通い、理学療法士の指導のもとで運動を続けることも可能です。

左図:治療前、右図:治療後
「カテーテル治療」では、直径数ミリのカテーテルを血管内に挿入し、先端に付いている小さな風船を狭窄・閉塞部にて膨らませ、病変部を拡張します。風船だけでは不十分と判断した場合は、拡張後にステントを挿入・留置することもあります。カテーテル治療では難しいと判断した患者さまには、外科手術を選択することもありますし、外科手術とカテーテル治療を組み合わせた、ハイブリッド治療を行うこともあります。
外来
循環器内科

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