大動脈疾患
大動脈は心臓から全身に血液を送り出す、体内で最も太い血管です。横隔膜を境に胸部大動脈と腹部大動脈に分かれます。太さは、胸部大動脈が直径約25~30ミリ、腹部大動脈が20~25ミリあります。この大動脈が、動脈硬化や感染・炎症・外傷などの影響を受けると「大動脈瘤」「大動脈解離」「大動脈閉塞・狭窄」等、種々な疾患を生じます。
「大動脈瘤」は、何らかの理由で大動脈の一部が瘤(こぶ)のように膨らんだ状態のことを指します。自覚症状はないことがほとんどですが、大きくなると破裂する恐れがあります。「大動脈解離」は、三層構造になっている大動脈の内側にある内膜に裂け目ができ、その外側に血液が入り込むことによって大動脈が裂けていってしまう状態のことで、胸や背中に突然の激痛が生じます。いずれの場合も、血管が破裂する危険性をはらんだ命にかかわる恐ろしい病気です。
当院では通常の外来に加え、毎週金曜日→月曜日の午後に大動脈疾患の専門外来を行っています。大動脈疾患を診断する上で最も簡単で重要な検査が「CT検査」です。X線を用いるこの検査では、身体を輪切りにして内部の構造を観察することができます。また最近では、磁力を用いて同様なことができる「MRI検査」も併用しております。身体への負担ができるだけ少なくなるよう、患者さまの状態に応じて検査方法を選択し、確実に診断がつくよう努めております。
まず血圧を下げる薬で血圧を調節し、血管への負担を低減します。それでも病状の悪化が見られる場合は根治療法が必要です。根治療法としては、開胸・開腹下での「人工血管置換術」やカテーテルによる「ステントグラフト内挿術」があります。
- 人工血管置換術
大動脈瘤や狭窄した部分を取り除いて人工血管に換える方法です。身体への負担は大きいですが、確実に治療可能な方法です。
- ステントグラフト内挿術
カテーテルを用いて血管内に折りたたんだ人工血管を挿入し、大動脈瘤や解離の部分で内側から拡げる方法です。身体への負担が少なく、高齢者や大きな手術に耐えられない患者さまにとっては良い方法ですが、治療の歴史が浅いため、現時点では長期成績が明らかでありません。
午前診療 受付時間:08:00~11:30
午後診療 完全予約制
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午後診療 完全予約制
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