水中毒って何?熱中症対策には注意が必要です。
水中毒という言葉をご存じでしょうか。例年、夏は猛暑と騒がれ何かと熱中症対策が注目されますが、それと同じくらい水中毒対策も大事です。
熱中食予防のための水分補給というのはただ水を飲めばいいというわけではなく、「必要な水分を必要なだけ摂取する」ことが重要になります。
9月になりましたがまだまだ暑い日は続きます。これを機会に水中毒について考え、正しい水分補給をしていきましょう。
簡単に言うと、水中毒とは水分補給を行った際に水分のみを過剰に摂った場合に起こる症状を指します。多量の水分が一気に体内に取り込まれると、血中のナトリウム濃度が急激に低下となるため、低ナトリウム血症の状態となり様々な症状が表れます。
主な症状としては、めまい、頭痛、多尿(頻尿)、下痢などがあり、重症化すると嘔吐、錯乱、意識障害、呼吸困難などの症状が表れます。実際に水中毒が原因での死亡例も報告されており、水中毒は熱中症に並んで注目されるようになっているのが現状です。
そもそも人が1日に必要としている水分量はどれくらいなのでしょうか。個人差はありますが約2500mlといわれています。そのうちの1000ml程度は3度の食事から摂取しており、体内で300mlほどが代謝されています。ということは、経口から必要な水分摂取量は1200mlだといわれています。もちろん体格や活動量、季節や気候、病態による水分制限などを考慮する必要はありますが、1200mlは目安量として考えておくと良いでしょう。
度を越えた水分摂取をしたり一度に多量の水分を摂ってしまうと、体内に多量の水分が入り込むので血液中のナトリウム濃度が下がってしまします。1日3000ml以上の水分摂取ををすると水中毒のリスクが上がるため、日常で摂取する水分は1000~2000mlの間で調整するように心がけましょう。
とはいえ、この暑さの中で水分は必須アイテム!熱中症予防や脱水予防に水分は欠かせません。ではどのように水中毒を予防していけばいいのでしょうか。
それは水分と同時に体液を調整する電解質を補給することです。電解質とは主にナトリウム、クロール、マグネシウム、カルシウム、カリウムがあげられますが、これらを水分と一緒に摂取することが必要です。発汗や排尿ではこれら電解質も放出されるため、水分補給時に電解質も補っていけば水中毒の予防につながります。よく、汗をかいたら食塩をなめる、塩飴を食べる。などの対策がされますが、実はこれはナトリウムの補給だけに偏り、電解質全体の補給にはなっていません。体液バランスと同等の電解質が含まれている経口補水液を摂ったり、食塩だけでなくミネラルの豊富な野菜をしっかりたっぷり食べるなどして、体液調整をしていくことを忘れずに!
ミネラルとは、ナトリウム、クロール、マグネシウム、カルシウム、カリウム、リン、セレン、鉄、亜鉛、硫黄、塩素などがありますが、中でも体内でイオン化して体液の調整や体内物の輸送を担っているのが電解質といわれます。それが前述したナトリウム、クロール、マグネシウム、カルシウム、カリウムです。
水中毒は低ナトリウム血症が原因で起こりますが、他にも高ナトリウム血症や高(低)カリウム血症なども耳にしたことがあるのではないでしょうか。これらはすべて何らかの要因で起こる電解質異常です。
いずれにせよ、まだまだ暑い日は続きます。気温だけでなく湿度も高いと熱中症予防にと水分を多く摂りがちになります。水分摂取と電解質補正、この両輪で正しい熱中症予防を心がけていきましょう。
- *1
wntree LG. Water intoxication. Arch Intern Med. 1923; 32: 157-74.