野菜しっかり食べていますか。1日350gの野菜を食べましょう。
「野菜はしっかり食べましょう。」日常でよく聞く言葉です。では“しっかり”ってどのくらいを指すのでしょうか。そしてなぜ野菜はしっかり食べた方が良いとされるのでしょうか。
野菜の栄養はたんぱく質や脂質の含有は少なく、体を作るための栄養素は少ないですが、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの体を調整する微量栄養素が多く含まれています。
暑い時期は汗と一緒にこれらの微量栄養素が失われるため、十分に補っておく必要があります。そこで今回は野菜摂取の必要性について考えたいと思います。
身近な食材の野菜。今はスーパーに行けば季節問わずどんな野菜も手に入りますが、私たちが普段目にしている野菜や口にしている野菜の種類はほんの一部です。「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」には実に178もの種類の野菜が掲載されています。
厚生労働省の示す「健康日本21(第二次)」では、生活習慣病などを予防し、健康な生活を維持するためにも野菜の摂取量は1日350gを目標としています¹)。その理由として、野菜を1日350g摂取することで、カリウム、食物繊維、抗酸化ビタミン等の微量栄養素の適量摂取が期待されるからです。しかし、図1に示すように「令和元年国民健康・栄養調査の結果」ではどの年代でも野菜の摂取は350gの目標に達していないのが分かります。
図1 : 厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査の結果」野菜摂取量の平均値(20歳以上、性・年齢別階)
現状は平均摂取量は280g前後と、あと70gほど目標量に達していませんが、これは必要量を正しく把握できていないことが理由の1つと考えられています2)。そこで70gの野菜がどれくらいかを図2に示しました。
図2:一般社団法人ファイブ・ア・デイ協会「1皿70gってどれくらい?代表的な野菜素材の70gの目安量」
この一覧表を参考にしながら、副菜としてあともう1種類の野菜をサラダに混ぜたり、お浸しや炒め物に使ったりすれば、無理なく野菜摂取ができます。食事バランスガイド(厚生労働省・農林水産省)では、野菜のほか、キノコ類、豆類、イモ類、海藻類も含めて副菜としているので、副菜もう1品。という意識で野菜摂取を増やすのがおすすめです。
ただし、野菜を食べていればあと他は何を食べてもいいというわけではなく、野菜を食べるということは栄養バランスを整えるということです3)。野菜摂取を増やして食生活全体を見直すきかっけにしていきましょう。
先ほどの野菜摂取の状況はあくまで平均値であり、県別にみると愛知県は野菜の摂取が47都道府県の中で最下位であり、最も野菜を食べない県といわれています。1位は長野県で352g/Dayの摂取となっています。ワーストワンの愛知県は229g/Dayなので、その差は100g以上もあるのです。
JAグループ愛知の調べでは、愛知県の農畜産物は図3に示すように約35%を野菜が占め、農業産出額は全国第8位と全国有数の農業県であるといえます。それなのになぜこんなにも野菜摂取が少ないのでしょうか。食事は毎日のことなので、もともとの習慣がそうさせているのは間違いないですが、そのひとつに朝食の品目数の少なさが指摘されています。そういえば朝食に野菜を食べていないな…と思い当たる人は早速明日からの朝食内容を見直すと良いでしょう。あまり難しく考えず、今が旬のトマトを添える。みそ汁を具だくさんにする。冷凍野菜を常備しておきレンジで温める。など簡単に取り入れられる方法で無理なく確実に野菜摂取を増やしましょう。
図3:JAグループ愛知 愛知の農畜産物
一般的に体を作る素となるたんぱく質、エネルギー源となる炭水化物や脂質のような栄養素は三大栄養素といわれています。その三大栄養素を体内で効率よく代謝していくためにビタミンやミネラルなどの微量栄養素が必要とされますが、野菜はその微量栄養素の供給源となります4)。また、食物繊維も多く含んでおり、排便の促進や腸内環境の改善によって生活習慣病の予防にもつながるとされています。
その他、野菜の成分は95%が水分です。野菜をしっかり食べるということは、体の調整をする機能性成分や水分の補給にもなる。まさに熱中症予防に最適な食品だといえるのです。
朝ご飯に野菜を食べる。これから夏本番に向けて熱中症対策としても野菜摂取習慣を身につけていきましょう。ただし、くれぐれもサラダにドレッシングをたっぷりかけたり、調味料をふんだんに使って味をつけたりなど、食塩の過剰摂取につながってしまうようなことがないように…。
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中嶋洋子. 栄養の教科書. 新星出版社