春こそ危険な熱中症!早めの熱中症対策が大切です。
熱中症というと夏というイメージが強いと思います。確かにここ数年では猛暑や酷暑が続き、真夏の異常な気温の上昇による熱中症の危険性は否めません。しかし春から夏にかけての季節の変わり目に起こりやすい“春の熱中症”の存在も忘れてはいけません。
5月は昼夜の寒暖差があったり日によって気温が変化したりと、何かと体温調整が難しい時期になります。そこで今月は急な気温の上昇に慣れていないこの時期に起こりやすい“春の熱中症”について触れてきたいと思います。
5月に起こる熱中症の原因のほとんどは、寒暖差に体が慣れていないことがあげられます。つまり急激に気温が上昇した際に体が環境の変化についていくことができず、体温調整機能が順応できなくなる。ということです。
まずは天気予報を確認し、晴れの場合は気温がどれくらい上昇するかも確認するようにしましょう。環境省の「熱中症予防情報サイト」では、毎日の“全国の暑さ指数(実況と予報)”でリアルタイムの気温を確認することができ、“熱中症警戒アラート”でその日の熱中症の危険度を知ることができます1)。何にでもいえることですが、対策のためには早めの、そして正しい情報収集が重要です。
暑熱順化とは体が暑さに慣れることをいいます。熱中症予防のためには今のうちから暑さに慣れるための対策を心がけ、熱中症になりにくい体にしておくことが必要です。
図1に日本気象協会が発表した「暑熱順化前線」を示しました。
この「暑熱順化前線」は体を暑さに順応させる時期の目安なので、これを参考にしながら暑熱順化をしていきましょう。体が暑さに慣れるまでに個人差はあるものの数日から2週間くらいはかかるといわれるので、いかに早めの対策をしておくことが大切なのかが分かります。
この時期からしておくことは、気温上昇の際に体温調整ができる体にすることです。図2に「暑熱順化による体の変化」を示しましたが、体内に熱がこもってしまうことで熱中症リスクが上がることが分かります2)。
では具体的にどのようなことをすればいいのでしょうか。それは適度に汗をかくようにすることです。汗をかくと体内の熱を発散することができるようになるので暑熱順化が進みます。また暑熱順化が進むとさらに発汗量や皮膚血流量が増え、体温調整がしやすい体になります。
適度な汗をかくためには運動や入浴が最適です。30分程度のウォーキングを取り入れ、湯船にゆっくりつかって心地よい汗をかきましょう。
そしてその際に忘れてはいけないのが水分補給。ウォーキングや入浴の前後には必ず水分補給をして脱水にならないようにすることも忘れずに!
ここまでで熱中症対策は今時期から行うことが重要であること、そもそも熱中症は夏だけに限ったものではないことが分かったと思います。
日頃から天気予報だけでなく気温も確認すること、昼と夜の寒暖差に備えて着脱のしやすい服装にしておくことや帽子の着用がおすすめです。
そして運動に入浴に水分補給。この習慣を身に着けることで健康で暑さにも負けない身体づくりを目指しましょう。