朝ごはん食べていますか?朝食は1日の始まりです。
暑くなりバテやすいこの時期。水分や口当たりの良いものを優先して食事を欠食したり、時間がないからといって朝食を抜いたりなんてことはありませんか。
朝は1日の始まり。当然、1日の始まりに食べる朝食もその日のパフォーマンスや体調に影響を与えるほど大切な役割をしています。
そこで今月は朝食の重要性について話したいと思います。
夜間、寝ている間にも私たちの身体はエネルギーを消費しています。起床した時、空腹な状態の身体はエネルギーが欠乏しており、脳内のエネルギーも同様に欠乏している状態です。そもそも脳のエネルギー源は糖質(ブドウ糖)のみでブドウ糖は体内に大量に貯蔵しておくことができません1)。となると、朝食をしっかり食べて必要なエネルギーチャージをしていないと、脳のエネルギーが不足し、その後の集中力が低下することは容易に想像できるかと思います。
また、エネルギーそのものが不足しているので、身体が重く感じたりだるさや疲労感が残ったりと何かとパフォーマンスが下がる原因になります。
人間の身体には体内時計が備わっています2)。この体内時計をつかさどるリズムは生命活動のコントロールに関与しており、体温や血圧を維持しています。いわば健康維持のための司令塔のようなものですが、その日内リズムは普段私たちが生活している1日24時間よりも少し長いリズムで時間軸が刻まれています。そしてその時間軸をリセットする方法が“朝日を浴びる”ことと“朝食を食べる”ことです。
朝食を抜くことでエネルギー不足になるのはもちろんのこと、体内時計はズレたままでリセットされていないので体がシャキッとせず仕事や活動の効率が上がりません。
朝は弱いから…。といって朝食を欠食している方は、朝が弱いからこそしっかり食べることを身に着けましょう。朝食を食べるようになると、体内時計がリセットされ体の中から目覚めるため、朝の弱さを克服できるものです。あと少し余分に寝るのではなく、その少しの時間を朝の食事にあてて気持ちの良い1日のスタートをきりましょう。
朝食を食べないと血糖変動を来しやすく血糖値スパイクが大きくなるといわれます3)。糖尿病患者における朝食欠食が血糖コントロールにどう影響したかを調査した研究調査では、朝食をとらないことがその後の食事後の血糖値の急な上昇(食後高血糖)につながるだけでなく、その日のインスリン反応が悪くなることが示されました4)。
図1に1日3回食事をした際と朝食を欠食した際で血糖値がどう変化するかを示しました5)。1日の食事摂取量が同じでも、朝食を抜いた時の方が食後高血糖になっていることが分かります。
インスリンを分泌する膵臓のβ細胞は、空腹時間が長時間にわたるとインスリン分泌機能が鈍るといわれます。簡単にいうと、長時間の空腹時間のせいでインスリンを分泌するという役割を忘れてしまうということです。
前日の夕食から翌日に朝食を食べないで昼食を食べた際、昼食後にβ細胞がインスリンを分泌する機能を回復するまでに時間がかかり、インスリン反応に遅延が起こることで結果的に食後の高血糖を招きます。血糖スパイクが起こることで1日の血糖値コントロールが不良になるということは膵臓に負担をかけることはいうまでもありません。
朝食を抜かないということは、膵臓をはじめその他の臓器を守っているということを忘れないようにし、朝ご飯を食べる習慣を身に付けましょう。
食事には水分が含まれています。米を炊飯する時には水を加水し、パンも加水して作られます。味噌汁にしても汁そのものが水分だったり、食材である野菜にはもともと90%ほど水分が含まれています。
朝食をしっかり食べることは朝から栄養と一緒に水分補給をしているということ。熱中症を予防するのに水分摂取はもちろん大事ですが、朝食を食べる習慣を身に着けることも熱中症対策のひとつといえます。
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時間栄養学 時計遺伝子と食事のリズム 女子栄養大学出版部
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Fasting Until Noon Triggers Increased Postprandial Hyperglycemia and Impaired Insulin Response After Lunch and Dinner in Individuals With Type 2 Diabetes: A Randomized Clinical Trial. Diabetes Care. 2015
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