日本の暦 二十四節気を知ろう
二十四節気とは太陽を基準に1年を24の節目に分け、各節の名称を付けた暦を言います。日本には四季がありますが、さらに二十四節気を知ることで、より身近に季節を感じることができます。まだまだ外出もしにくく、メリハリを感じにくい時節柄だからこそ、二十四節気を知って繊細に季節を感じてみましょう。
二十四節気は太陽の黄道の位置によって24等分する“定気法”によって定められています。
旧暦では1年を354日で区切っていたため、必然的にズレが生じてしまいます。農業を営む上では季節を知ることは重要なため、正確な時期に種まきから収穫までを行うためにも1年を24の季節に分けたのです。
二十四節気は年によって誤差が生じるので、前年と同じ月日の場合もあれば異なる場合もあります。2022年の二十四節気は図1に示した通りです。
また雑節という二十四節気と同様に季節の移り変わりを表す特別な暦日があり、節分、彼岸、土用などがあげられます。
それではそれぞれの名称とその意味をみてみましょう*1。
二十四節気では2月からが春になります。2月というとまだ寒さを感じる季節で、現代では冬というイメージが強いですが、旧暦ではこの立春から1年の始まりとされていました。立春を迎える前日である節分は季節を分けるという意味です。そして節分では今年のうちに厄や邪気を追い払うという目的で豆まきを行ったといわれています。
- 1月 小寒…寒さが厳しくなるころ
大寒…最も寒さが厳しいころ
- 2月 立春…春の兆しが見え始めるころ
雨水…雪解け水が流れ出すころ
- 3月 啓蟄…土中の虫が地上にでてくるころ
春分…昼夜の長さが同じになるころ
- 4月 清明…清々しい空が広がるころ
穀雨…穀物を成長させる雨が降るころ
- 5月 立夏…夏の兆しが見え始めるころ
小満…植物が茂り始めるころ
- 6月 芒種…穀物の種まきや田植えをするころ
夏至…太陽の位置が高く最も昼が長い日
- 7月 小暑…暑さが増してくるころ
大暑…最も暑さが厳しいころ
- 8月 立春…秋の兆しが見え始めるころ
処暑…朝晩涼しく感じるころ
- 9月 白露…朝晩に草花に露がつくころ
秋分…昼夜の長さが同じになるころ
- 10月 寒露…草花の露がより冷たくなるころ
霜降…霜が降り始めるころ
- 11月 立冬…冬の始まり
小雪…初雪が降り始めるころ
- 12月 大雪…雪が激しく降り積もるころ
冬至…太陽の位置が低く最も昼が短い日
二十四節気は春夏秋冬のある日本ならではの暦です。これくらいの期間ごとで区切ってあると、同じ1年を過ごすにしてもより変化に富んだものになり、それに合わせて生活意識を高めると、より充実した豊かな日常になるのではないでしょうか。
1年は始まったばかり。自粛生活を言い訳にせず、こういった暦を知って“なんとなく月日が経ってしまった”というようなことのない1年にしましょう。
二十四節気を知ったところでどうやってメリハリある生活をしていくか。を考えることも大切です。実際に、二十四節気の名称をいわれても馴染みが薄い方もみえると思いますが、そこでオススメするのが食事です。前述したように日本には四季があるおかげで季節ごとに収穫できる食材が異なります。また調理法も季節や地方ごとにそれぞれの特徴があります。
現代ではスーパーに行けば季節問わずほとんどの食材がそろいますが、旬の時期に旬のものを食べること。これに勝るものはありません。旬の食材を口にすることで季節感を感じることができ、四季の移り変わりを感じることでメリハリのある日常にもなります。
そしてその心がけこそが健全な身体と豊かな心を育み、1日1日を大切にすることにもつながるのではないでしょうか。
もっと知りたい方へ
二十四節気を作るために基準となったのは、1年で最も昼の時間が長い夏至と、最も昼の時間が短い冬至です。そして次に基準となったのは、昼の時間と夜の時間が同じである春分と秋分で、この4つによって春夏秋冬の四季ができました。これが二至二分といわれています。そして各季節の始まりにそれぞれ立春、立夏、立春、立冬を定め、これが八節といわれています。八節は45日区切りなので、それを3等分した15日区切りの節気が二十四節気というわけです。さらにこの二十四節気を3等分した5日区切りの節気が七十二候です。
二十四節気は暦上の季節の指標ですが、実際の季節感とは相違があるように感じる方も多いのではないでしょうか。もともと二十四節気は紀元前の中国で生まれた指標であり、当時の中国と日本を比較した時に、中国の方が暑さ寒さのピークが1~2カ月早かったようです。
そういった理由から二十四節気と実際の季節感にズレが生じているというわけです。そこで節気ごとにその時期の一般的な行事と旬の食材をまとめました*2。ぜひ参考にしながら意識して、日本の暦である二十四節気を日常に取り入れてみましょう。
・立春の行事…バレンタインデー/立春の食材…ブロッコリー・いちご など
・雨水の行事…ひな祭り/雨水の食材…菜の花・うど・ハマグリ など
・啓蟄の行事…彼岸・ホワイトデー/啓蟄の食材…ぜんまい・タラの芽・鰆・あさり など
・春分の行事…卒業式・花見/春分の食材…にら・みつば・ひじき など
・清明の行事…入学式/清明の食材…新玉葱・新じゃが芋・鰹
・穀雨の行事…ゴールデンウイーク/穀雨の食材…春キャベツ・さやえんどう など
・立夏の行事…端午の節句・母の日/立夏の食材…たけのこ・わかめ・鯵 など
・小満の行事…衣替え/小満の食材…エンドウ豆・そら豆 など
・芒種の行事…父の日/芒種の食材…トマト・とうもろこし・オクラ・メロン など
・夏至の行事…山開き・海開き/夏至の食材…紫蘇・枝豆・びわ・さくらんぼ・タコ など
・小暑の行事…七夕・お中元/小暑の食材…ピーマン・茄子・胡瓜・すもも・いか など
・大暑の行事…土用丑・花火大会/大暑の食材…ゴーヤ・茗荷・レタス・スイカ・鰯 など
・立秋の行事…お盆/立秋の食材…冬瓜・いちじく・桃・鱸 など
・処暑の行事…夏休み終盤/処暑の食材…さつまいも・梨・ぶどう・かぼす など
・白露の行事…敬老の日・お月見/白露の食材…里芋・しめじ・舞茸・秋刀魚 など
・秋分の行事…彼岸/秋分の食材…椎茸・なつめ・鯖 など
・寒露の行事…体育の日/寒露の食材…新米・青梗菜・銀杏・ざくろ・りんご など
・霜降の行事…ハロウィン・紅葉/霜降の食材…人参・落花生・柿・みかん・牡蠣 など
・立冬の行事…七五三/立冬の食材…春菊・山芋・小豆・蟹・ホタテ など
・小雪の行事…お歳暮/小説の食材…白菜・蓮根・レモン・鯛 など
・大雪の行事…クリスマス/大雪の食材…大根・鮭 など
・冬至の行事…正月/冬至の食材…南瓜・葱・ほうれん草・柚子・鮃 など
・小寒の行事…成人式/小寒の食材…かぶ・小松菜・鱈・鰤 など
・大寒の行事…節分/大寒の食材…牛蒡・蕗のとう・水菜・鮪 など
- *1
井上象英 365日、暮らしのこよみ
- *2
村上百代 二十四節気に合わせ心と体を美しく整える