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ともに病を乗り越えた 患者さまの声 Vol.2

2020年05月13日

TAVIの最先端治療が起こした奇跡

佐藤 鶴代 さん
延々と続く恐怖の発作

幼少の頃から健常で、病気とは無縁の人生を過ごしてきた佐藤さんの体調に異変が起きたのは、60歳を過ぎたある日のことでした。突然、胸を締め付けられるような息苦しさを覚え、旧国立療養所豊橋東病院へ赴くと、鈴木孝彦副院長(当時)から重度の大動脈弁狭窄症であると告げられました。

しかし、当時の医療技術では、弁膜症に対する根本治療は侵襲性の高い外科手術しかありませんでした。佐藤さんの体力では耐えられないと判断されたため、投薬による治療が選択されました。 しかしそれは、長く苦しい闊病生活の始まりでもありました。その後、紹介を受けたクリニックに通院するも、症状が改善することはなく、突然気を失って救急搬送されるという事態が、2か月から3か月に1度、酷い時には1か月に1度の頻度で起こったのです。

「病気になって10年ほど経った、あるお正月のことでした。クリニックが休みの日に発作が起きてしまい、いつでも受け入れてくれる豊橋ハートセンターヘ搬送されました。 そこで鈴木院長と再会して、以来、多くの先生方の下で治療を受けることになったんです」。

望みを託した最先端治療

そんな佐藤さんの前に現れた医師の一人が、フランスでTAVI(経カテーテル的大動脈弁留置術)を学んだ山本真功医長でした。

TAVIは外科手術に比べて低侵襲なため、佐藤さんにとっては最適な治療方法のはずでした。しかし、検査を進めていくと、TAVIを受ける上で重大な問題が見つかりました。動脈硬化が進行した佐藤さんの血管の内壁には石灰化が多く見られ、術後、一時的な回復は見込めても、再び血管が狭窄してしまう恐れがあったのです。

困難な治療が2年以上続く中、2016年に「金属を用いて血管の内壁を拡張する」という画期的な方法が開発されました。この方法ならば、石灰化した内壁を金属で抑え込んだまま、狭窄した血管を拡張することで、TAVIを施行することが可能です。

心からの安堵と幸せな日々

同年4月、佐藤さんはTAVIの最先端治療を89歳で受けることになり、 山本医長率いる「ハートチーム」によって治療は大成功を収めました。結果、30年間続いた症状が嘘のようになくなったのです。

「山本先生には感謝の気持ちしかありません。 治療の腕は間違いないし、何よりその優しい人柄に家族みんなが惚れ込んでいます。 病院で会うたびに、佐藤さんには東京オリンピックを元気な姿で見てもらいたい、次に続く患者様に希望を与える存在であってほしい、と笑顔で励ましてくださるんです」。その言葉に応えようと、佐藤さんはいま、人一倍健康に気をつけています。その秘訣は、趣味である手芸やデイサービスで行うカラオケを楽しんだり、息子さんにドライブに連れて行ってもらって、出先で美味しいものを食べたりすることです。

「今は病気も治り、幸せな日々を過ごせています。豊橋ハートセンター、山本先生、スタッフの皆さまには、私を含め、家族みんなが感謝しております。本当にありがとうございました」。
大好きな山本医長に寄り添いながら、佐藤さんが満面の笑みを見せたのでした。