TREATMENT

疾患ごとの
診断と治療
疾患ごとの<br>診断と治療

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低侵襲心臓手術:MICS

低侵襲心臓手術(MICS)とは
小さな傷で患者さまに優しい、
“体に対する負担が少ない手術”です。
低侵襲
出血量が少ない、痛みが少ない
早期社会復帰
手術後早くもとの生活に戻れる
目立たない傷
大きな傷が胸に残らない

通常の心臓手術の場合、胸骨正中切開で胸骨を切開する必要があります。できるだけ小さな皮膚切開で行う心臓手術を低侵襲心臓手術、Minimally Invasive Cardiac Surgery, MICS(ミックス)と言います。当院で行っている MICS(ミックス)手術は、肋骨と肋骨の間(肋間)を 3-5cm ほど切開して手術する「肋間小開胸」がほとんどです。

胸骨正中切開
胸骨部分切開
肋間小開胸
メリットとデメリット

低侵襲手術の特徴は、「小さな傷で患者さまに優しい」。患者さまにより負担の少ない心臓手術をご提供します。

メリット デメリット
MICS 肋間小開胸のMICSでは骨を切らないため、傷の感染のリスクはほとんどありません。
また、一般的に胸骨を切る手術の後は、上半身を使う肉体労働やスポーツは、2ヶ月間は控える必要があります。しかし、MICS(ミックス)手術では運動制限はありません。早期リハビリが可能で、早期社会復帰(平均入院日数4日)をしていただけます。
美容面にも大変優れており、特に女性では傷が乳房に隠れ、ほとんど見えなくなるため満足度の高い術式です。
MICS(ミックス)手術は「深く、狭い」術野にのため手術は難しくなり、手術時間や人工心肺を回す時間・心臓を止める時間は普通よりも長くなってしまいます。しかし、骨を切らないというメリットがデメリットを上回ると判断した場合は積極的にMICS(ミックス)手術を行うようにしています。
手術の適応

当院では、基本的にほぼ全ての弁膜症(大動脈弁、僧帽弁)・冠動脈バイパス手術・心臓腫瘍(粘液腫など)・先天性心疾患(心房中隔欠損症)・不整脈手術に対応しており、複合手術にも対応しています。しかし、すべての方に可能な術式ではありません。動脈の石灰化が強い方や、いくつもの手術を同時に行わなければいけない方、ミックス(MICS)手術ではリスクの方が高いと判断した患者さんは適応外となります。

僧帽弁形成術術後
大動脈弁置換術術後
大動脈弁手術
従来の方法は、胸の中央にある“胸骨”を切る方法です。様々な疾患に対処できる方法です。
内視鏡を用いて5cm程度の小さな傷で行うため、早期社会復帰(平均入院日数4日間)が可能です。入院中に輸血が必要となる方はほとんどいません。
通常手術ではリスクが高い患者さまが対象です。カテーテルを使用し傷んだ弁を人工弁に置き換えます(TAVI)。
僧帽弁手術
内視鏡を使用した小さな傷(3-4cm)の手術

3D内視鏡を用いて、詳細な僧帽弁の形成を目指しています。当院では閉鎖不全症に対して形成術を第一選択としています。僧帽弁の形成術の成功率は95%を超えます。術後3-4日で退院でき、手術から平均2週間で仕事復帰されている患者さまが多いです。入院中に輸血が必要となる方はほとんどおられません。

先天性疾患、心臓腫瘍に対する手術
内視鏡を使用した小さな傷(2-2.5cm)の手術

心臓腫瘍、弁膜症を合併した心房中隔欠損症などが対象となります。

手術件数(2019年)

副院長メッセージ

Message
最高の医療を提供することが我々の使命

適応のある症例には低侵襲手術を積極的に行っております。 低侵襲手術はチームの力が非常に大切です。外科医、麻酔科医、手術室看護師、臨床工学技士など手術に関わるスタッフ全員が手術を深く理解している必要があります。

小さな傷からの手術ですので、細心の注意をはらわなければなりません。高い技術、多くの経験、そして盤石のチームワークがなければ、安全に行うことはできません。我々はそれを築き上げてまいりました。

今後、低侵襲手術に対するニーズはますます高くなっていくと考えられ、今現在における最高の医療を提供することが我々の使命であると考えております。ご希望やご質問等ございましたら、お気軽にご相談ください。

お問い合わせは、心臓血管外科 後藤 芳宏(goto@heart-center.or.jp)まで