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心房中隔欠損のカテーテル治療
豊橋ハートセンターは、愛知県東部において成人に対する
唯一の心房中隔欠損のカテーテル治療施設です

 心房中隔欠損とは?

心房中隔欠損とは、左心房と右心房を仕切る心房中隔に欠損孔と呼ばれる穴が開いている疾患です。 通常、心臓から肺に送り出される血流量と心臓から動脈を通り全身に送り出される血流量は等しくなります。この疾患の場合、欠損孔があるため左心房から右心房へ血液が流入し、右心系(右心房、右心室、肺)の血流量が増加します。 そのため右心系の負担が増え、肺がうっ血した状態になります。この結果、疲れを感じやすい、息切れしやすい、正常な成長が妨げられる、風邪や肺炎などの呼吸器感染症にかかりやすくなるなどの症状があらわれます。また欠損孔が大きい場合、心不全ヘ進行することもあります。 重症の場合、新生児や乳児期に症状があらわれ、手術が必要となります。しかしほとんどの場合、成長するまで自覚症状がなく(または軽く)、その症状は患者さんによって異なります。新生児期に症状があらわれない場合でも、年齢を増すごとに動惇や息切れ、心房細動などの症状があらわれ、治療が必要となります。 また、長期にわたって肺へ過剰な血液が流れ込むため、肺高血圧症の危険性もあります。

心房中隔欠損症の症状

ほとんどの人は思春期ごろまで自覚症状はありませんが、30歳になるころまでに肺血管の血圧が高くなり、呼吸困難などの心不全症状、不整脈などの症状が出ます。合併症として心房細動、心不全、肺高血圧などがあります。肺高血圧が重症化すると手術ができなくなります。治療を行わない場合、40~50歳に到達できる割合は50%程度といわれています。

また通常、静脈内にできた血栓などは、心臓に流れ着いても肺に取り込まれて処理されますが、それらが運悪く右心房から左心房に流入してしまった場合は、脳動脈へ流れ込んで脳梗塞や脳膿瘍を引き起こすことがあります。(奇異性脳塞栓症)

 治療方法

治療には、アンプラッツァー心房中隔欠損閉鎖システムを使用します。

アンプラッツァー心房中隔欠損閉鎖システムの構成

オクルーダーとデリバリーシステムにより構成されています。 オクルーダー(以下閉鎖栓) 心房中隔欠損を閉鎖します。 閉鎖栓は、ニッケル・チタン合金(ニチノール)製の細いワイヤーをメッシュ状に編みこんだ傘のような構造となっています。

適応

アンプラッツァー心房中隔欠損閉鎖システムは、閉鎖栓を経皮的に胸部を切開することなくカテーテルを用いて心房中隔欠損を閉鎖するために医療機器です。このシステムを用いた心房中隔欠損の閉鎖治療は、一般的に以下の患者さまが対象となります。

  • 超音波画像(心エコー)検査によって心房中隔欠損が確認された方
  • 右心室への過剰な血液流入の臨床的根拠(右心室の容量負荷)が認められる方

 当院における治療

豊橋ハートセンターは、循環器内科と心臓血管外科が協力し、患者さんにとって優しい治療を提供します。カテーテル治療は負担の少ない優れた治療法ですが、穴の大きさや場所によっては不向きな方もおられます。そうした場合は、外科手術が必要になります。心房中隔欠損があり、閉鎖した方がよいと診断された患者様に対しては、どの方法が最適かを判断し、ベストな方法を提供いたします。

治療方法

治療は心臓カテーテル室で行われます。X線装置、超音波心エコー装置(経食道心エコー装置)で心臓を観察し、心電図で心拍を看視します。治療の全行程は全身麻酔の下で行われます。麻酔による不快感はありません。

心血管造影用カテーテルを大腿静脈から挿入し、下大動脈を通って心臓まで進めます。右心房、右心室、肺動脈、左心房、左心室のそれぞれの圧と血中の酸素飽和度を測定します。続いて心臓血管造影を行って心房中隔欠損の大きさを測定、撮影します。

適切なサイズの閉鎖栓をデリバリーケーブル(閉鎖栓取り付け機能を有する専用の細いワイヤー)に取り付け、デリバリーシース(閉鎖栓を運搬する細長い力テーテル)に挿入して心房中隔欠損まで運び、閉鎖栓で、心房中隔欠損を挟み込んで、閉鎖します。

閉鎖栓の位置が適切であり、欠損孔の閉鎖が確実であると判断されたら、閉鎖栓をデリバリーケーブルから離脱します。デリバリーシステムと経食道心エコーの探触子(プローブ)*1を抜去して治療は終了です。治療は、数時間で完了します*2

*1:探触子(ブロブ)…超音波発信機

*2:患者さんの容態、心房中隔欠損の大ささや位置など、個々の患者さんの状態によって異なります。詳しくは主治医にお尋ね下さい。

治療の流れ

大腿静脈よりデリパリーシースを挿入し、右心房側より欠損孔を通して、左心房へアプローチします。大腿静脈よりデリパリーシステムを挿入し、右心房側より欠損孔を通して、左心房へアプローチします。
左心房にあるカテーテルの先端まで閉鎖栓を進め、左心房側のかさを開吉ます。左心房にあるカテーテルの先端まで閉鎖栓を進め、左心房側の傘を開きます。
閉鎖栓の中心部まで広げ、欠損孔に近づけます。閉鎖栓の中心部まで広げ、欠損孔に近づけます。
閉鎖栓中心部を欠損孔の位置に合わせます。閉鎖栓中心部を欠損孔の位置に合わせます。
右心房側のかさを聞きます。右心房側のかさを聞きます。
閉鎖栓が確実に留置されたことを確認した後、接続を解除し治療を終了します。閉鎖栓が確実に留置されたことを確認した後、接続を解除し治療を終了します。

治療後

麻酔から醒め一定時間ベッドで安静にした後、起き上がって歩くことが可能となります(医師の指示に従ってください)。経食道心工コー装置を使用しますので、治療後にのどに痛みが残ることがありますが、数日で軽快します。経過が順調であれば、数日間入院した後、退院となります。治療後は(もしくは治療前より)血液のかたまり(血栓)がでさることを予防する薬(アスピリンなど)を約6ヵ月間服用します。

退院前には胸部×線検査および超音波心エコー検査などを行います。この検査は治療後、定期的に外来で実施します。

心房中隔欠損の力テーテル治療は、開胸手術に比べて患者さんの負担が少ないため、短期間で回復することが可能です。

治療後の効果

右室容量の減少によって呼吸困難など心不全症状の減少がみられます。また、静脈内にできた血栓などが運悪く右心房から左心房へ流入し、脳動脈まで流れ込んで脳梗塞を起こす奇異性脳塞栓症を防ぐことができます。

術後経過

日常生活での注意

退院後の日常生活には制限はありません。お仕事、散歩、軽いジョギングなど問題ありません。ただし、1か月間は激しい運動は避けて下さい。

それは、転倒、ジャンプ後の着地などによる衝撃で、穴を塞いだ閉鎖栓が外れてしまうことがあるためです。

閉鎖栓は数か月かけて膜で覆われて心臓の一部になります。治療後1ヶ月以降は、膜が張り安定してきますので、運動しても大丈夫です。

日常生活での注意

来院から退院のまでの1週間の流れ

外来受診〜ASD 治療前日 ASD 治療当日 術後〜退院まで(〜3日)
外来にて
検査
点滴 手術 検査
超音波検査など
術後評価
退院
アイコン アイコン アイコン アイコン アイコン
→

よくあるお問い合わせ

Q. 治療による痛みはありますか?

A. 治療は麻酔下で行われますので治療中に痛みを感じるこ とはありませんが、治療後にカテーテルを体内に挿入した 部位(図3参照)に不快感のあることがあります。また治療 の際、経食道心エコーの探触子を食道に挿入しますので、 治療後、喉に痛みのある場合があります。これらの症状は 数日~1週間ほどで消失します。

Q. 留置した閉鎖栓の違和感はありますか?

A. ありません。また体内に閉鎖栓があると感じることもありません。

Q. 閉鎖栓を留置した後はどうなるのですか?

A. 留置した閉鎖栓は二度と取り出すことはありません。閉鎖栓は留置後、通常3~6ヶ月で心臓の内皮で完全に覆われてしまいます。

Q. 治療後は普通に運動してもよいのでしょうか?

A. 治療後1ヶ月間は、全ての運動を避けなければなりません。普通に運動ができると感じても、主治医が許可するまで(約1ヶ月間)は運動をひかえてください。

Q. MRI(磁気共鳴画像法)検査が必要な場合は、どうしたら良いのでしょうか?

A. 閉鎖栓はMRIに適合性があります(磁性がありません)ので問題はありませんが、MRI検査が必要となった場合は、事前に閉鎖栓を留置していることを告げてください。

Q. 空港の金属探知機を通る時はどうしたら良いのでしょうか?

A. 閉鎖栓に磁性はありませんので、身体に異変をきたすことはありません。その他、保安検査上 必要な場合は、患者カードを空港警備員に提示してください。詳細は医師にお尋ね下さい。

費用

ASD治療は健康保険の適応治療です。
さらに、高額療養費制度をご利用いただくとことで、費用の負担を軽減をすることで可能です。

例)ASD治療 3-5日入院の場合

健康保険を使用される場合
70歳未満の方 約51万円(3割負担)
70歳以上の方 44,400円
高額療養費制度を利用される場合
70歳未満の方 年収 約1,160万円以上の方 約30万円
年収 約770万円〜1,160万円の方 約18万円
年収 約370万円〜770万円の方 約10万円
年収 〜約370万円の方 44,400円
住民税非課税の方 57,600円
70歳以上の方 35,400円

※食事代、個室代は別途必要になります。