心臓リハビリテーション部門
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2016.11.1
06

「“座っていること”がアナタを殺す(sitting is killing you)」

あなたは1日に何時間座っていますか?

一時期、「Sitting is killing you(座っていることがアナタを死に追いやっている)」と題したインフォグラフィックス・サイトがYOU TUBEで公開されました。「1日に6時間座っていると死のリスクが40%増大する」「1日に3時間以上座ってテレビを見ている人は、そうでない人と比べて心血管リスクが64%増加する」など、ものすごい勢いの英語と衝撃的なアニメーションが流れ、座ったままでいることがいかに体を蝕んでいるかを説いていました。現在は通常では見られなくなっているようですが、関連サイトがいくつも立ち上がっています。内容の一部をご紹介しましょう。

■1日に6時間座っていると死のリスクが40%増大する

1日に6時間座る生活を続けていると、たとえ日常的に運動をしていたとしても1日に3時間しか座らない生活の人に比べて15年以内に死ぬ確率が40%増えるとのこと。リスクを回避する方法はただ一つ、「座る時間を減らすこと」とのこと。

■太っている人は、やせている人に比べて1日に2時間半長く座っている

座っているときはほとんどエネルギーを消費せず、必然的に肥満になりやすくなります。

■「座ること」は体を破壊する

  • デスクワーク中心の人は立ち仕事中心の人に比べて心血管リスクが2倍
  • リパーセによる脂肪燃焼率が90%低下
  • 座ってから2時間が経過するとHDLが20%減少
  • 24時間後ではインスリンの効果が24%減少し糖尿病のリスクが上昇
  • 1日に3時間以上座ってテレビを見ている人は、そうでない人と比べて心血管リスクが64%増加
  • 長時間座ってテレビを見る時間が1時間伸びるごとに死亡率が11%増大

いかがですか?身につまされる、という人もいるかと思います。

■カラダにとって最も良い座り方は135度

ヒトの体は座ったままでいるようにはできておらず、むしろ座りっぱなしの状態が人体にとって無理な状態なのだそうです。ちなみにこのサイトでは、座面に対して背骨が135度となるように座るのが最も負担のかからない座り方であり、前傾姿勢や90度の垂直姿勢は、逆によくない、とコメントしていました。

デスクワークの最中にこれを実践するのはなかなか困難ですが、少なくとも1時間に1回立ち上がって体を延ばす、移動の時にはエレベーターを使う代わりに階段を使う、通勤手段を自転車や徒歩に変更するなど、少し意識するだけでも“sitting only(座っているだけ)”の状態は回避できます。

では、なぜ座っていることが体に悪いのか?そのメカニズムは、次の“もっと知りたい方へ”で解説します。

もっと知りたい方へ

「なぜ、座りっぱなしは死を招くの? “Why sitting will kill you”」

座りっぱなしでいることが命を縮めるという説が有力です。では、なぜ座りっぱなしは体に悪いのか?これを医学的に説明しているインターネットのサイト(英文)があります(“Why sitting will kill you1))。その内容の一部をご紹介しましょう。

■人は、生活習慣仕様に自身を適応させる

人体は、実に効率よくできています。エネルギーも栄養も使う部分には多く配分し、使わない部分には配分しなくなります。その結果、たとえば自転車競技の選手は脚力が強くなり、ロッククライマーは腕の筋力が発達します。同様に、「座っていることが仕事」、みたいな人には、そのように体が適応してしまいます。実際には、体にどんなことが起こっているのでしょうか。

  1. 使わない部分の筋肉量が減ってしまう
    使わない筋肉には栄養を配分することは“無駄”と判断され、その部分の筋肉委縮し、弱くなります。筋肉の量が減ると、残された筋肉の組織だけで運動しなければならず、疲労しやすくなるため、さらに運動量(パフォーマンス)が減ってしまいます(人手不足の職場によくみられる現象に似ていますね)。
  2. 腰や太ももの筋肉が短縮する
    筋肉は、“いつもの姿勢”や“いつもの動き”を取りやすいよう準備しています。下図を見てください。いつも座っている人は、座っている形に腰やおしりの筋肉が形成されます。その結果、体幹を支えたり歩いたりするための“腸腰筋”や“大腿四頭筋群”が短縮してしまい、立った時にも伸びにくくなります。こうして、スムーズな立ち上がりや歩行ができなくなります。
図(左) 椎骨と骨盤の間で体幹を支えるインナーマッスル、腸腰筋群
図(右) 脚を前に進めるための、大腿四頭筋群
  1. 筋膜の硬直
    筋肉の表面は、“筋膜”というコラーゲンなどでできた膜で覆われています。筋肉が動くたびに、筋膜の組織は新しいものに再生されますが、筋肉を動かさないでいると、筋膜が硬くなり、体を柔軟に動かすことができなくなります。
座位を続けると、腸腰筋やハムストリングスが短縮する(出典1を参考に作図)

■体に、“いつでも動けるような準備”をさせておく

いかがでしょうか。少々むずかしい内容ですが、大切なのは、「その人の体は、その人の生活モードに合わせて “仕様”が決まる」ということ。よく運動する人は、“運動習慣仕様”に、座りっぱなしでいる人は、“座りっぱなし仕様”になります。

だとすれば・・・もうお分かりですね。「私は動きたい時に動く生活をしている」と、体に覚えこませておけばいいのです。

出典:
  1. “Office Ergonomics: Why Sitting Will Kill You”
    (http://www.magicalrobot.org/BeingHuman/2011/03/office-ergonomics-why-sitting-will-kill-you)